動いてしまう人々

何か壁にぶちあたった時、どうするかは人それぞれです。ぶつかっていく人。状況が動くのを待つ人。逃げる人。

 よくそういう場合に逃げずにぶつかっていくべきだと言われています。ただ、そういう場合にぶつかっていく方々ほど苦労するケースが多いような気がします。

 

1.障害が多く、風当たりが強い。

 それなりに安定している場合は成功するかわからないのにわざわざ波風を立てなくてもという反発があります。

 

2.苦労の割にメリットが少ない。

試行錯誤して、道を切り開くのは困難なことです。また、成功するとは限りません。

成功したときに得るものが大きいとはいえ、努力のわりに報われているかというと疑問が残る部分が大きいのが現状です。

 

名誉・賞賛などでは割が合うものではありません。そのため、理想論としてはぶつかっていくべきと言いますが、実際にはそうでない方々のほうが多いように思われます。

でも、それでは進歩がありません。そのため、ぶつかっていく方々(先駆者)の努力に報いるために様々な方法があります。特許・知的所有権などがそれですね。ただ、残念ながらまだまだ完全に保護されているとは言い切れません。特にまだ新しい分野であるインターネット分野ではなおさらです。

お金が絡むビジネスでもそうなのですから、特に利益を生み出すわけではない趣味の世界では制約なしも同然と言ってもいいでしょう。

 

 ただ、人というのは決してコスト計算だけで割り切れるものではありません。

目の前に壁があると動かずにはいられない方々というのがいます。必ずしも信念をもった立派な人格者だけではありません。先駆者と呼ばれる方々はむしろ動くつもりはないのに結果的に動いてしまう方々のほうが多いかもしれません。

 

先駆者がある程度道を切り開いてから後を追う、真似をするというのが効率いいやり方です。苦労してきた先駆者としてはおいしいところどりに腹が立つのは当然です。ただ、それを露骨に表に出すと嫌われます。後追いする方々のほうが圧倒的に多いのですから。

自分だけでやっている分にはまだ何とかなる部分があります。でも、人を動かす立場にある場合は人がついてこなくなります。

 

本当に人格者もいます。自分が切り開いた道を他人が使ってくれるのが嬉しいという、人のために生きるのが好きなタイプです。あるいは思っていても決して口にしない。個人的には完璧すぎて近寄りがたい気もしますが。

中には嫌だと言いながらも、結果的にはあれこれ支援してしまうタイプもいます。

 

 動いてしまう人間で、寛大な人間。

 

そういう資質がある方が天性の人の上に立つタイプだと思います。そういう方がいらっしゃるといらっしゃらないでは雲泥の差です。多少、状況が悪くてもいれば充分に乗り切れます。

というわけで出会ったときはできる限りのことはしたいと思います。もっともそういう方々ほど遠慮しまくるわ、気にしてそれ以上に動いてしまうんですけどね。

ついでにそう指摘すると、「そういうこと言っていないで自分で動け」などと怒られてしまうこともあります。

トップ オリジナルエッセイ目次

28.叩きの構造とその対策 30.一国一城の主