この世に生きたあかし

 うつ病の症状の一つに「悲観的になる」というのがあるけど、病気に関係なくたいてい悲観的にならざるをえないと思います。

 

「弱い立場の人間にしわ寄せがいく」

 

 人間関係のたいていの場面でそうですから。ただ、完全に弱肉強食にしてしまうと生き延びる人間が少なくなり、文明社会を築くのが難しくなります。そこである程度は争いを避けられるように協定をつくったわけです。慣習とか、法律とか、規則とか。

でも、自由な部分はお互いの交渉によって決められ、たいてい弱い立場の人間にしわ寄せがいきます。下っ端とか、断るのが苦手な人間とか、交渉能力が弱い人とか、「いい人」と評価されたい方とか。

その中でも「目標を達成したい欲求が強い人間」、「その集団に愛着がある人間」ほど弱いですね。「トップの人間はヒラと退職間際の奴が一番怖い」と言った方がいます。言いえて妙だなと思いました。「どうでもいい」と割り切れるとしわ寄せがきたとしても逃げてしまうことができますので。

「嫌なことを笑顔で引き受ける人ほど好かれる」

というのは当然のことです。進んで「しわ寄せ」を引き受けるわけですから。

「根性がない」「無責任だ」

と文句をいわれるのは「しわ寄せから逃げた」ときです。

 

人間誰しも損はしたくないので、「しわ寄せ」から逃げてばかりいては孤立します。そこでバランスが求められるのですが、このバランスをとるのがなかなか難しいわけです。誰もがたいてい「自分のほうが損をしている」と思っていますから。

 

人間と接することによってたいていはストレスが溜まり、ある種の人間は立場が弱い立場(と思われている)人間に負の感情をぶつけます。そういうストレス解消をする人間の比率はその集団の体質によって変わってきます。

「立場が弱い」私はよく負の感情をぶつけられるほうです。

最初は一つ一つを気にして、落ち込んだり、怒ったり、闘ったりしていました。でも、心ある先輩の「闘うときと譲るときのバランスを考えなさい。一つ一つに闘っていたら消耗しちゃうわよ」というアドバイスによって対処を選択するようにしました。

重要性と時間と体力の兼ね合いで考えます。でも、困ったことにそういう方々はたいてい「闘う時間・体力がない」ときにふっかけてくるのですよね。「弱っている」のを見計らうのだから当然といえば当然のことですが。

必然的に流すことが多くなりました。

困ったことに流すことによって逆に燃えてしまう方々も多いです。負の感情をぶつける側としては「落ち込んだり、感情的になってくれない」と面白くないというやつでしょうか。会うたびに厭味を言い続け、嫌がらせをしてくることもしばしばです。飲み会の席で「バカにしている」と延々と絡まれたこともありました。

 

 流していてもまるっきり何も感じていないわけではありません。むしろ余裕がないときなので余計にストレスが溜まります。

ある日、いきなり爆発して周囲に迷惑をかけることもしばしばありました。頻度が高くなるとますます立場が悪くなりそうなので、パソコンを買ってからは文章にすることにしました。

 サイトを開いてからは「サイトを運営してことに対しての反感」も加わりました。サイトを通じて係わった方々、職場の方々。

 

サイトを開いたのが現実社会の周囲ではインターネットに馴染みが薄い頃なので、「SFホラー的な妄想」をもつ方々もいました。

「それができるとして・・私に何かメリットがあるんですか」

未知のものへの警戒心は冷静な判断を失わせるようです。

出会い系サイトの事件が頻繁に起きた頃には「いくらでも嘘がつけるから、胡散臭い人ばかりじゃないの」とよく言われたものです。「それを言い出したら現実社会も同じです」と説明しましたが、「理解したくないことは理解しない」の法則でしつこく言われたものです。「好きなものをけなされると腹が立つ」法則を利用してわざと神経を逆なでしていたのかもしれません。・・インターネットを通じて世間話をするだけで強盗できたり、性犯罪を起こしたり、人が殺せたら特殊機関にスカウトされるかもしれません。

 

ストレスは溜まっていたのですが、直接的に文章に反映することはありませんでした。まだ職場に愛着があり、関係者が読めば職業がわかる可能性がある&サイトばれしていると「保身」が働きます。

 「小出しに吐き出したほうがいい」

 とあるところで知り合ったある方に言われました。思いっきり読まれていますね。「これまで書いた愚痴をばら撒くまでは死ねない」と思っています。一部の人間に流し読みされ、風化するだけだとしても、「感情のある」人間として生きたあかしになるではないですか。

自殺衝動を抑える最大のストッパーになっています。

 

 「まったく反撃しない完全な弱者はいない」

インターネットを危険視し、阻止しようという方々はそれを見越していたのかもしれません。

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